2020/12/17
『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』には、シナリオ上の重大な選択があります。
花嫁選びです。
ビアンカとフローラ、どちらと結婚するのか。
この選択については発売から長い年月が経った現在でもたびたび話題になり、「ビアンカ派」「フローラ派」の論争が起こります。
なお、DS版以降ではデボラも花嫁候補になりますが、今回はビアンカとフローラの二人について考えます。
花嫁選びでは、二人の見た目や性格の好み、戦闘での強さ、少年時代のビアンカとの思い出、選ばなかった場合に二人がその後どうなるのか、といった様々な要素が語られます。
しかし、私はこの話題であまり語られていない重要な要素が一つあると思っています。
天空の盾です。
sponsored link
そもそも花嫁選びは「天空の盾」から始まっている
主人公がフローラと結婚することになったきっかけは、単純にフローラを気に入って求婚したからではありません。
ルドマンが所有する伝説の武具「天空の盾」が目的です。
主人公は父パパスの遺志を継ぎ、母マーサを救うために旅を続けています。そのためには伝説の勇者を探す必要があり、天空の装備も重要な手掛かりになります。
そこで天空の盾を所有しているルドマンのもとを訪れるわけですが、ルドマンはフローラの結婚相手を探していました。
つまり、主人公の花嫁選びには最初から「天空の盾」という冒険の目的に関係する重要なアイテムが絡んでいます。
ビアンカを選んでも盾はもらえる。でも、それは選んだ後の話
ここで非常に重要なのが、どちらを選んでも最終的には天空の盾をもらえるということです。
ビアンカを選んだからといって天空の盾を失うわけではありません。ルドマンはビアンカを選んだ主人公の決断も認め、最終的には天空の盾を譲ってくれます。
しかし、それは結果を知っているプレイヤーだから言えることです。
花嫁を選択する時点では、ビアンカを選んでも天空の盾をもらえる保証はありません。
初見のプレイヤーは、その後ルドマンがどうするのか知りません。フローラとの結婚をやめてビアンカと結婚すると決めた以上、天空の盾はもらえないかもしれない。そう考えるのが自然だと思います。
そして天空の盾は、単に取り逃したら困る強力な装備というだけではありません。主人公が父パパスの遺志を継ぎ、母マーサを救うために続けている冒険に関わるものです。
そう考えると、この場面で天秤に載っているものは、「ビアンカとフローラ、どちらが好きか」だけではありません。
ビアンカを選ぶということは、パパスから受け継いだ使命を達成するための重要な手掛かりを失うリスクまで受け入れる選択なのです。
花嫁選びには「使命」も天秤に載っている
もちろん、それでもビアンカを選ぶことは何もおかしくありません。結婚は主人公の人生を左右する重大な選択です。亡き父から受け継いだ使命よりも、現在の自分自身の感情を優先することだってあるでしょう。
逆に、天空の盾を手に入れるためにフローラを選ぶことに引け目を感じる人もいると思います。
「自分は本当にフローラと結婚したいのか。それとも天空の盾が欲しいからフローラを選ぶのか」
そう考えれば、フローラを選ぶ側にも別の葛藤が生まれます。
どちらを選ぶべきなのか。私は、そこに正解はないと思います。すべてプレイヤーの選択です。主人公が何を大切にして、何を選ぶのか。それを自分で決めるのがロールプレイです。
ただし、この選択を考えるときに忘れてほしくないことがあります。
花嫁選びは、単純な好みやキャラクターの強さだけで決める二択ではありません。
パパスの遺志を継ぎ、マーサを救うという主人公の使命まで天秤に載っている選択なのです。
この葛藤まで含めて花嫁選びを楽しみたい
私は、ここまで考えるとドラクエ5の花嫁選びはロールプレイとして非常に面白いイベントだと思います。
どちらの女性が好きなのか。父から受け継いだ使命をどう考えるのか。自分の気持ちを優先するのか。天空の盾を手に入れるために結婚相手を選ぶことをどう考えるのか。
そうしたものを全部天秤に載せて、それでも最後には自分で一人を選ばなければならない。
ところが、何も考えずに見た目や性能だけで選んでしまえば、この葛藤を味わうことなく、花嫁選びは単なるボタン押下、シナリオを進めるためのフラグ立てになってしまいます。
もちろん、どんな理由で誰を選ぶのも自由です。
ただ、これからドラクエ5の花嫁選びについて考えたり、ビアンカ派・フローラ派で語り合ったりするときには、ぜひ一つの重大な争点として、「天空の盾と、主人公が背負っている使命」も天秤に載せてみてほしいと思います。
……などと今では考えている私ですが、当時の私はビアンカを選びました。
理由は、子供たちが金髪になってスーパーサイヤ人みたいでカッコいいと思ったからです。(`・ω・´)
そんな私も、後年になって改めてドラクエ5を考えたことで、ようやくこの花嫁選びに込められていた重要な意味に気が付きました。